加工食品におけるトレーサビリティの構築－「食品トレーサビリティシステム導入の手引き」を基に

摘要

平成13年9月のわが国におけるBSE発見を契機として，食品の生産·製造·流通過程にトレーサビリティを導入することが食品流通政策の重点課題とされるようになった。 その一方で，量販店等の主導によって様々な食品のトレーサビリティシステムが開発され，実用化されるという展開もみられている。 しかし，加工食品については後述するような品目特性があることから，それへのトレーサビリティの導入には多くの課題が残されているのが現状である。 そこで本稿においては，平成15年1月に（社）農協流通研究所が食品製造業者を対象として実施したアンケート調査結果に基づいて，加工食品へのトレーサビリティ導入の現状と課題について確認した後に，同じく（社）農協流通研究所が事務局となって策定した「食品トレーサビリティシステム導入の手引き（以下，「手引き」）」の内容を紹介しつつ，加工食品の製造·流通におけるトレーサビリティの構築について検討することとしたい。