“良い仕事”をめざす技術者のキャリア開発

摘要

終身雇用と年功序列として知られる日本型人事管理モデルは，高度成長期を通して日本社会に確立した。この時期には体系的な企業内教育訓練も重視されており，技術者は企業の裁量にすべてをゆだねて仕事人生を終えるという典型が形作られた。しかしこれらのモデルは，高度成長期の終焉によって大きな変貌を余儀なくされ，1990年代から雇用の流動化や成果主義の必要性が唱えられるようになった。当時，筆者も「技術者の環境変化求められる能力の変化。これらを踏まえて技術士の資格取得が必要」（1994年12月技術士試験突破マニュアル）と記載した。そして現在，社会，経済，技術の根源的な変革のなかで，企業も技術も永続でなく，技術者は自らのキャリアを自らの責任の下に切り拓かねばならない時代となった。