エンジニアリングの新たな潮流 バーチャルエンジニアリングの衝撃: 第13回 開発·モノづくりにおけるプラットフォーム環境

摘要

製品開発のコンセプトや，活用のシーンなどを含めた情報を交換しながら，その製品の設計仕様，量産要件，サービス環境などの製品とユーザー活用シーンを具現化するシーンモデルベース開発が，2010年頃より欧州で普及，定着が始まった。これは，あらゆる設計条件などを表現，検討のうえ，設計仕様の熟成を効果的に行うことが可能となったバーチャルエンジニアリングのコアとなっていることを本連載第9回で紹介した。欧州での自動車開発を中心に進められており，製品の使用状況（シーン）をイメージし，その状況で必要とする機能や課題をバーチャルモデルで表現しながら設計仕様を決めていく方法である。そのため，そのバーチャルモデルは，「製品単体」，「製品の各部位」の3次元モデルだけではなく，「製品を使う環境」，「使う人の特性」もモデル化している。欧州を中心として進められていることから，日本では知られていない可能性があるが，やり方として，自動車会社側から全体の車のありたき振る舞い，コンセプトをモデルとして表現したシーンモデルがサプライヤーに渡される（図1）。