通信帯域に応じて送信する画像領域を選択する推定送信方式

摘要

近年のリアルタイムな IoT サービスでは，サービス品質に直結するシステム処理時間の短縮が望まれている. エッジコンピューティングは低遅延通信と潤沢な計算リソースを IoT デバイスに提供するが，処理時間短縮こは，通信を考慮したシステム全体の制御が必要である. 例えば，小型 HMD などによる AR サービスでは，エッジコンピューティングによる AR サービスが求める制御周期内での処理が期待できるが，通信が狭帯域になると，テバイスからサーバへの画像データの伝送時間が制御周期を超過し， AR の表示位置の誤差が発生する．本稿では，画像データ内の AR 表示対象を含む注視領域をサーバが推定し，デバイスがサーバの指示に従い注視領域をトリミングして送信する推定送信方式を提案する．提案方式では，トリミング画像だけを送信することで，制御周期の要求する送信時間内のデータ伝送の実現を図る．また，提案方式は，各 AR 表示対象に優先度を設定し，通信帯域に応じて優先度の高いトリミング画像から送信することで， AR 表示位置の誤差の低減を図る．シミュレーションにり，提案方式はトリミングをしない従来方式に対して，狭帯域環境においても表示誤差 1／10 以下を確認した．