スラグと接触したマツド材料微細構造

摘要

組成の異なるマッド材で銑鉄，スラグをそれぞれ別に包み込hで加熱し，微構造観察を行い，以下の知見を得た。 （1）銑鉄－マッド材，スラグー非酸化物マトリックスのマッド材の組み合わせの試料を1500°Cで加熱しても銑鉄，スラグはそのまま残留していた。 しかし，スラグ一酸化物を含むマトリックスのマッド材の組み合わせでは，スラグはマッド材の研磨面で約100／mum程度の幅の気孔中に浸入していた。これは，マッド材と溶融物の濡れ性の遠いで説明された。 すなわち，濡れ性が悪い場合，溶融物は毛細管力によって気孔に浸入できないが，濡れ性が良い場合，毛細管力によって気孔に浸入するためと考えられた。（2）また，気孔内のスラグ組成はマッド材の組成に近くなるように変化していた。これより，スラグが気孔に浸入する過程で，マッド材の成分がスラグに溶出していると考えられた。 （3）スラグーマッド材の組み合わせの試料を200kPaの，荷重下で加熱した場合，スラグとマッド材が反応し　て液相を形成していたし液相生成に及ぼす圧力の影　 響を次のように推定した。 加圧によって液体の圧力　 が上昇し，より細かい気孔までスラグが浸入，マッ　ド材のマトリックス粒子との接触界面積が大きくなり，マッド材のスラグへの溶解量が増大した。 （4）実際の高炉出銑孔において，マッド材は気孔内にスラグが浸入し，また，スラグと圧力の影響でマトリックスが溶融した組織を呈していると推定される。 そのため出銃孔内のマッドの組織や状態を考える場　合は，スラグとの共存や圧力の影響を考慮する必要があると考えられる。