西オーストラリアのピルバラ始生代地塊に見る花崗岩類と金属鉱床：特に酸化/還元状態の評価

摘要

始生代（24．5億年以前）の地球の大気は現在と追って非常に酸素が少なく還元的であったが，22億年頃から突然的に増加したと長い間信じられていた。 これはいわゆるホーランド説である。 ところが最近，その頃も今と余り変わらなかったとするモデルが大本 洋教授より提案され（大本説，第1図），現在活発に討論されている（Ohmoto，1997；Holland，1999）。 その提案に至る過程·現在の論点などについては渡辺（1998）が詳しく解説している。 ごく最近のジオシミカ誌（GCA），2001年11月号の表紙には古土壌の解析から描かれたホーランド説が掲載され，特集号としてH．D．Holland教授に献呈されている。 一方酒井（1999，図4-8）は両説の中間的な，始生代から大気中の酸素分圧が漸増したモデルを図示している。