クリップ送信方式を用いたSDM-PONの伝送特性－BPFのみの受信処理でONU32台の場合

摘要

より高速で経済的な光アクセスネットワークの実現を目指して，筆者らはサブキャリアをユーザのディジタルデータで変調して伝送するSDM-PON (Subcarrier Digital Modulation Passive Optical Network)を提案し，その実現性について検討している.これまでに，光送信電力の効率化を図るために，電気被変調信号のマイナス成分を削除して光信号に変換するクリップ送信方式と受信側で多重化されたクリップ信号からもとの信号を再現する3つの方法を提案した.クリップ送信方式と3つの受信処理のうち方法3を用いてONU, (i=1，2,…，32)の送信データを常時1Gbps,ディジタル変調を16 QAM,サブキャリア周波数をf_i=2.8+(i-1) [GHz]として，ONU 32台まで伝送が可能であることを示した.この評価では，高いサブキャリア周波数が割り当てられている伝送距離が長いONUに対して光送信電力が最大+6dBm(平均)と比較的大きい値を用いた.本論文では，3つの受信処理方法のうち最もシンプルなBPFのみを用いた方法2を用いて，サブキャリア周波数を再評価し，周波数をより低く抑えることによって，光ファイバの分散による特性劣化を抑えることを試みる.その結果，ONUの光送信電力を最大+2dBm (平均)に下げても，ONU32台までの伝送が可能であることを明らかにする.