シングルバブル·ソノケミストリーの実験的研究－ソノルミネッセンス閾値でのラジカル量変化

摘要

シングルバブル·キャビテーションによって生じるOHラジカルおよび亜硝酸イオンを定量した．特に，アルゴン精留説で説明されているソノルミネッセンス発光閾値の上下の音圧条件，すなわち，ダンシング気泡条件と安定発光気泡条件に着目して比較した．周波数25kHzにおいて，空気気泡条件下で，発光を伴う安定気泡では1周期あたりのOHラジカル数と亜硝酸イオン数は音圧振幅に比例した．しかし，発光閾値以下の不安定にダンシングする気泡では，OHラジカル数は増加したが，亜硝酸イオンは検出されなかった．一方，アルゴン気泡下での実験においては，OHラジカル数は空気下での実験よりも多く，さらに，ダンシング気泡ではOHラジカル数が著しく増加した．これらの結果は，気泡の形状不安定性が液中に溶出するOHラジカル数を増加させることを示すとともに，空気気泡の場合には，発光気泡内でOHラジカルの一部が亜硝酸イオンに転化することを示唆している．