リスク·ベネフイツ卜情報の共有とコミュニケーション

摘要

医療現場における医薬品を中心としたリスクコミュニケーションでは，対象とする治療に関して，可能な限り正確な数値によるリスク情報とともに，その治療の必要性やべネフイツ卜に関する情報を，患者と医療者で共有することが望まれる。さらに，その治療を行わない場合や，他の治療を行う場合のリスク，ベネフイツ卜の情報との比較をあわせて行う。医療者は，患者の不安や葛藤に共感的に接し，理性的な判断を支援するように関わることが求められる。リスクコミュニケーションは，個人レベルのshared decision makingから組織レベルの医療環境改善の基盤となるものであり，医師·薬剤師·看護師をはじめとする医療者に，力をあわせて患者に寄り添っていくという原点の確認を求めている。