自動車におけるドア閉め音の音質評価（第1報：ドア閉め音の定量的評価手法の検討）

摘要

本論文では，その第一段階として，従来の手法とは異なった手法でドア閉め音の定量化にアプローチし，さらにこれまで十分になされていなかったアプローチ方法の妥当性，および得られたデータの有意性の確認を行った．簡単にアプローチ方法を説明すると，まず試験車両を10台選定した．次に，ドア閉め音の音色の分析を，SD法による官能評価試験から得られたデータを用いた因子分析により試みた．また，ブランドおよび外観からくるイメージの影響度合がドア閉め音の評価結果にどの程度依存するかを調査することで，正確にドア閉め音を官能評価するための条件を明らかにする．次に，ドア閉め音を時間領域，周波数領域で解析し，これらのデータと官能評価との対応を検討する．これによって，評価の良いドア閉め音がもつ物理量特性を明らかにできる．さらに，重回帰分析を行うことで，ドア閉め音の心理的な良否を物理量を用いることにより推定できる数式を得る．すなわち，ドア閉め音の心理的な良否判断を物理量により推定する一手法を提案する．以下に，その過程と結果について報告する．