3次元形状認識機能とウォータージェット技術を用いた水産用定量加工ロボットシステムの設計·試作（第1報：魚フィレの3次元計測機の設計論·試作）

摘要

農産物や水産物など自然の産物は，不定および複雑な形状であり，純粋な機械的手段による加工や選別などの生産処理が容易ではない．しかしながらこの分野における生産自動化の要望は高い．本研究の直接的な背景は，水産加工業分野において，魚を加工する工程で，前処理として魚体を3枚下ろしの加工（以後それを魚フィレと称す）を行い，次にそれを切り身に切断する工程作業がある．Fig.1 は，その作業を行っている水産加工場の現場写真である．この作業は，単に切り身に切断すれば良いというわけでなく，所定の重量計量値に個々のばらつきの小さい切り身に切断する事が常に求められている．これまで満足できる性能の機械が開発されててなかったので，この作業はFig.1の写真に示されるように現在もなお人手に頼られている．しかしこの作業は，労働者の腕や肩に過大な負担が強いられる．その結果，大半の労働者が，腱鞘炎に罹患するという問題をもたらしている．当然ながら，労働者をこの種の重労働から解放するためのロボットの開発が強く待望されている．本研究開発は，そうした状況に応えるために，水産用定量加工ロボットシステムの設計·試作することを目的とする．そして魚フィレの3次元形状認識技術を確立した上で，魚フィレの加工手段としてウォータージェット技術を採用している．今回試作機の製作が完成段階に到達したので紹介する．