再生可能エネルギーの主力電源化に向けた政策の方向性

摘要

再生可能エネルギーを取り巻く状況は、大きく変貌している。世界的には、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い発電コストが急速に低減し、他の電源と比べてもコスト競争力のある電源となってきており、それがさらなる導入につながる好循環が生じている。わが国においても、2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度（以下、FIT制度）が導入されて以降、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が急速に進hだ。一方、その発電コストは国際水準と比較して依然高い状況にあり、国民負担の増大をもたらしている。2015年7月に策定された長期エネルギー需給見通し（エネルギーミックス）においては、2030年度の再生可能エネルギー導入水準（22～24%）を達成する場合のFIT制度における買取費用総額を3.7～4.0兆円程度と見込hでいるが、2018年度の買取費用総額は既に3.1兆円程度に達すると想定されており、再生可能エネルギーの大量導入に向けて国民負担の抑制が待ったなしの課題となっている。