2足ロボットの(動歩行における)歩行制御の方策には大きくわけて二つある.一つは「倒れないように歩く」という考えを出発点にするもので,これは静歩行を動歩行に拡張するというポリシーで展開される.そのとき最も重要な考え方が静的な重心点を動的な場合にまで拡張したものと捉えられるZMP(zero moment point)である.ほかの一つは「倒れることを利用しで歩く」という考え方である.これは,積極的にロボットの転倒を誘発させ,倒れてしまう前に次の一歩を前に出し転倒を避ける,というサイクルを繰り返すことで継続的に歩行するものである.この歩行において重要なトピックスは「受動的歩行」である.ZMPを陽に考慮した歩行は,いわば「歩行(歩容)に何らかの意識を集中して歩く」ことであり,受動的歩行による歩行は「無意識にリラックスして歩く」ことに相当している.ロボットが種々の作業をするには両方必要であることはいうまでもない.前者については本特集号で梶田が解説しているので,ここでは後者について考察する.以下では,受動的歩行の歴史を振り返り,力学現象として興味深い点,ロボットの歩行制御原理としての興味深い点,さらに,非常に発展性がある点,について順次見ていく.
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