知的車椅子のための歩行者の顔の観察に基づく衝突回避

摘要

社会のバリアフリー化が進み福祉環境も整いつつある近年，足の不自由な方々や高齢者の方の移動手段として車椅子の需要はますます増えるものと思われる．特に電動車椅子はこれまでの車椅子がユーザに強いてきた肉体的負担を軽減し，体力のないユーザでも介護者の付添なしで行動することを可能にしてくれる．しかし，これまでの電動車椅子ではジョイスティックで絶えず操縦している必要がある．これでは，障害物を避けたり狭い間を通ったりする際の細かな操作や，危険回避のための素早い判断などまだまだユーザの肉体的，精神的負担は大きい．そこで，このような負担を減らし，さらに安全で快適性を高めたユーザにやさしい車椅子の実現を目指し，知的車椅子やロボソト車椅子と呼ばれる車椅子の研究が行われている［1］～［4］．これらの知的車椅子では，次の二つの機能が検討されている．(1) 複雑な操作の負担を軽減してくれる自律走行や障害物回避機能(2) 簡単かつ確実に車椅子に命令を与えることができるユーザインタフェース我々もこれら二つの観点を考慮し，ューザが行きたい方向に顔を向けるだけで操作することができ，超電波センサを用いて自律的に障害物を回避し狭い空間を通り抜けることができる知的車椅子を提案した［5］［6］．