IHI（ABB）製舶用過給機の軸受·潤滑システム

摘要

舶用過給機（以下，過給機）では，燃料油や使用環境の過酷さから，軸受に対しても高い性能を求められる。例えば，車両用エンジンはガソリンや軽油など比較的良質な燃料油を使用しているが，舶用ディーゼルエンジンではC重油と呼ばれる低質油を使用していることが多い。そのため過給機としては，燃料の燃焼によって発生するカーボンが潤滑油中に混入し，軸受を傷付けるというトラブルや，運転時間の経過と共にタービンの羽根に多量のカーボンが付着し，回転体のアンバランスが増加した結果，軸受へのダメージが大きくなることなどを想定し，これらに対応しておく必要がある。さらに，排ガス規制を背景とした高圧力比化や，ランニングコスト削減のためのメンテナンスインターバルの長期化のニーズから軸受への負荷の増大，耐久性の向上が求められており，本稿では，過給機の軸受がこれらの要求に対し，どのような変遷を辿ってきたかを，IHI製過給機号例に紹介する。