ガスタービンしゃ熱コーティングのCMAS損傷発達挙動

摘要

ガスタービンエンジンは熱機関の一つであり，航空機，船舶，火力発電などの動力源として活用されている。これらガスタービンエンジンを用いた製品の市場は，昨今の新興国を中心とする人口増加ならびに経済成長に伴い急速な拡大が見込まれている。ガスタービンエンジンは圧縮機，燃焼器，タービンの3つの主要要素から構成されている。その基本サイクルはブレイトンサイクルと呼ばれており，効率向上にはタービン入口温度（Turbine Inlet Temperature: TIT）の高温化が最も有効である。そのため，航空機用および産業用ガスタービンエンジンのTITはその開発とともに年々上昇し，現在では1500-1700°Cに達している。Ni基超合金はそのような超高温環境に耐えうる構造材料としてタービン動·静翼および燃焼器内壁に用いられ，その役割を果たしてきた。ガスタービンエンジンの開発当初は多結晶のNi基超合金が多く用いられてきた一方で，一般的に高温では結晶粒界が破壊の起点となることから，応力の作用方向に垂直な粒界を除去した一方向凝固Ni基超合金，さらには粒界をすべて除去した単結晶Ni基超合金を開発し，TITの高温化要求に応えてきた。