官民データ活用推進基本法と環境測定分析におけるIT利活用

摘要

本稿では，官民データ活用推進基本法を中心に国のIT 政策の動向について解説した後，環境測定分析の分野での IT 利活用について述べる。2000 年の「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法（IT 基本法）」の制定から 20 年近くにわたって，e-Japan 戦略等 IT 政策が推進されてきたが，今回の「官民データ活用推進基本法」の制定は大きな転換点になると思われる。というのも，従来は書面を電子データで置き換えていくという発想になりがちだったが，今後は原則として手続きはオンライン，原本はデジタルデータという考え方が基本になる。今までは手続きのオンライン化にあたっては，電子化しても問題がないことや電子化の必要性について関係者を説得する膨大な労力をかけなければならなかった。ところが，これからは電子化しない場合になぜ書面で手続きをするのか理由が必要ということになる。説明責任が逆転するという意味で画期的なことだといえる。