薄肉バーフロー金型による超高速充填過程の計測－第2報：ガスベント条件とスプルー容積の影響

摘要

本研究では，スクリュ射出速度（射出率）およびガスベント条件が，フローフロント前進速度，金型内ガス圧力，流動長に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている．前報では，キャビティ全長とガスベント条件が可凌構造で，且つフローフロント通過タイミングを光ファイバーセンサで検出しながら，キャビティ内のガス圧力変化が同時に計測できる薄肉バーフロー金型（厚さ0.5mm，幅10 mm)を開発した．同金型により，PPおよびLCPを用いた流動特性評価実験を行ない，その有効性を明らかにした．さらにLCPを用いた実験では，成形品表面に生成する膨れ（ブリスター）が，超高速充填でも金型内残留ガスを真空引き（強制排気）することで抑制できることを明らかとし，ブリスター生成メカニズムを提示した．本論文では，PPを用いて射出率とガスベント条件の変化が，フローフロント前進速度，流動長に及ぼす影響についてさらに詳細に調査した．また，スプルー容積の変化が薄肉キャビティ内のフローフロント前進速度および流動長に及ぼす影響ついて検討した．以下に概要を報告する．