めっきにおける内部応力の測定について（1）－内部応力についての概論および定義

摘要

外部から何らの力も加わっていない状態の部材内に存在する応力を内部応力または残留応力、固有応力と称する。この種の内部応力は機械や機械部品の材料製造中、すなわち鋳造や各種の熱処理あるいは塑性加工、表面加工などによって発生するもので、加工後の部材内に残る内部応力は部材の変形やゆがみ、割れ、腐食、疲れ強さなど各種の障害に深く関係している。したがって、機械や部品の製造に際しては、要求される設計強度を保証するために内部応力（残留応力、固有応力）に関して十分な考慮が必要である。ところで、製品価値をより高めるための表面処理法として広く採用されている電気めっき、いわゆる電着によっても内部応力が発生し、一般に「電着応力」と称される。これは、薄い平板の片面に電着を施すときしばしば薄平板が「湾曲」するという事実からもその存在が容易に理解できる。本稿では、こうしためっき（電着）によってめっき（電着）層に生じる内部応力（電着応力）および母材（素地）に生じる内部応力ついて概論から測定法にわたって論述する。