九州本土におけるGAB含量の多いサトウキビ乳酸飲料製造のための品種の選定

摘要

γ－アミノ酪酸（GAB）は遊離アミノ酸の一種で、抑制性の神経伝達物質としての働きや血圧降下作用等の機能性成分として注目されている。サトウキビがGABAを含有している事は知られていたが、この成分を積極的に活用した加工利用に関する研究はこれまでなかった。九州沖縄農業研究センターと沖縄県農業研究センターはGABAの原料となるグルタミン酸含量を高め、グルタミン酸をGABAに効率的に変える菌をそれぞれ選定し、これらの菌を組み合わせることにより、GA餌含量が多く∴しかも良食味の新規サトウキビ乳酸飲料の製造法を共同で開発した。しかし、品種系統と乳酸飲料の食味及びGABA含量の関係は検討されていない。熊本県は全国有数の牛乳生産地であり、また、字城市三角町、天草市、水俣市等では以前からサトウキビ栽培が続けられており、サトウキビ乳酸飲料の製造に適している。そこで、GABA含量が多く、良食味のサトウキビ乳酸飲料を製造可能とする熊本県での栽培に適した品種系統を選定し、その品種系統を用いてサトウキビ乳酸飲料の製造法を確立することにより、地域農業の活性化と乳製品の活用促進により酪農の活性化を目指す。