黒大豆種皮抽出物含有食品の 血管内皮機能改善効果の検討-ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験-

摘要

近年，食生活やライフスタイルの変化に伴って， 高血圧，脂質異常症，糖尿病などに代表される生活 習慣病が増加している。生活習慣病は重複して発 症することが多く，合併した場合は互いにその病態 を増悪させ，動脈硬化が加速することで心疾患や脳 血管疾患の発症リスクが高まることが知られている。血管の内皮細胞からは一酸化窒素(NO)，プ ロスタグランジンI_2， C型ナトリウム利尿べプチド， 内皮由来過分極因子(EDHF)といった血管拡張因 子，単球接着抑制，血栓形成阻害などの働きをもつ 種々の血管作動性因子が放出され血管を保護するこ とから，血管内皮機能の低下は動脈硬化の初期像 ととらえられている。このような背景から動脈硬化 をきたす前に血管内皮機能を正常な状態にすること は，生活習慣病の予後を改善するうえで非常に重要 である。