汚泥を原料とする低温メタン発酵消化液を施用した水田土壌 におけるメタン発生および窒素無機化特性

摘要

発酵温度が通常（35で）より低い低温メタン発酵と消化液の液肥利用は，エネルギー効率を改善できる有望な技術で あるが，低温条件が消化液の組成や肥料特性に及ぼす影響は未解明である.そこで本研究では，室内培養試験により， 脱水汚泥を原料とする低温メタン発酵消化液の水田土壌施用後のメタン発生、窒素無機化特性を調査した.その結果， 発酵温度が15°Cの条件ではメタン発酵過程で未分解の成分が他の条件より多いため，相対的に土壌でのメタン発生量が 多くなることが示された.一方，発酵温度が25°C以上であれば，分解が十分に進み，土壌でのメタン発生量は相対的に 少なかった.また，消化液中の有機態窒素の無機化に伴うアンモニア態窒素の増加割合は，発酵温度に関わらず少なか つた（3-13%)ことから，消化液のアンモニア態窒素分を考慮して施肥設計すればよいことが示された.