アテローム血栓症の画像診断-アテローム血栓症を起こしやすい不安定プラークの同定に向けて－

摘要

近年，生活習慣の欧米化と自動化に伴い，脳心血管イベントによる死亡は増加傾向にある。 心筋梗塞，脳梗塞に代表されるアテローム血栓症は，羅患患者数が多く，その診断方法，治療法は着実に進歩してきている。 特に冠動脈狭窄病変に対しては，薬剤溶出性ステントを中心とした冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス術が確立し，治療成績や長期予後は大きく改善してきている。 一方，アテローム血栓症を原因とする急性心筋梗塞の発症予測，一次予防はいまだ充分とはいえないのが現状である。 ACS発症前に梗塞責任病変の血管内腔の状態を知ることができた症例において，梗塞にいたった病変の多くはもともと高度狭窄があるわけではなく，50％以下の比較的軽微であった病変から発症していることが多く，狭窄牽からACSを予測することは困難であると考えられている。 この50％以下のプラークが将来破裂する可能性のある，いわゆる不安定プラーク（vulnerabIe plaque）であるか否かを同定する方法があれば，アテローム血栓症の発症前に治療を施すことができ，一次予防に大きく寄与すると考えられる。 日常臨床において，アテローム血栓症の画像診断には冠動脈造影，冠動脈CT（MSCT），血管内超音波法（lVUS），光干渉断層法（OCT）などが用いられている。 それぞれの特徴を生かしながら，プラークの情報を集積し，治療そして予防に生かす方法が工夫検討されている。