クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法：可溶性タンパク質

摘要

クライ才電子顕微鏡による生体高分子の構造解析法は，長らく,大きな複合体の構成分子のX線結晶構造 やNMR構造との組み合わせで相補的役割を果たして きたが，低分解能というイメージが定着していた。し かし数年前の電子直接検出型力メラの登場によってそ のイメージは一変し，今ではX線やNMRを越える主 要技術としての地位を確立した。我々は日本電子と共 に簡単な自動データ収集で高分解能構造解析を可能に するクライオ電子顕微鏡を開発した。冷陰極電界放出 型電子銃を搭載したCRYO ARM 300では，画像分 解能の指標となるThonリングが理論予測どおり1A 近い分解能まで確認でき，標準試料アポフエリチンの 構造解析では24時間の自動データ収集で世界最高の 1.53 A分解能を達成した。この冷陰極電界放出型電 子銃の有効性の証明により，今後この電子銃がクラィ 才電子顕微鏡の主流となり，さらなる分解能革命につ ながると期待される。