環境配慮型水路工法における水路床変動の実験

摘要

昭和30年代から始まった生産性向上を目的とした圃場整備事業によって，土水路がコンクリート三面張り水路に整備されたことなどから，生物の生息場としての水路環境は悪化した。 しかし，近年，生物保全に対する社会の要請が高まり，平成13年に改正された土地改良法では，水路を施工する際に環境との調和に配慮することが定めらゎた。 このような時代背景から，多くの環境配慮型の水路工法が考案されている。 例えば，圃場整備によって分断された水田と水路をつなぎ，水路から水田に遡上して産卵する魚類を保全するための魚道がある（端，1999；鈴木ら，2000）。 これらの魚道を施工した場合，水路は魚類の移動経路となるため，移動中に敵に襲われることなどを想定して，水路内に隠れ場となる深みなどをつくることが必要であると考えられる。一方で，このような工法を導入することが技術面，経済面などから難しい場合は，分断された水路において，生物の産卵場所や，流れの多様性をつくり出し，生物のライフサイクルを維持することが一つの案として考えられる。