早生力ンキッ「みはや」の高品質果実安定生産技術(シートマルチ栽培による高糖度果実生産と 白色化繊布被覆による果皮褪色の軽減)

摘要

気候温暖化の進展に伴い、温州ミ力ンでは 秋期の高温や多雨により、着色の遅延や浮き 皮の発生が問題となっています。また、年明 けに収穫する「不知火」をはじめとする中晚 柑では、冬季に厳しい寒波が襲来し、果実が凍結することでス上がりや苦味が発生し、出 荷量が減少することがあります。このような 状況の中、農研機構果樹研究所（現在、果 樹茶業研究部門）において、年内に成熟し、 浮き皮は発生せず、温州ミ力ンと外観で区別 性があり、紅が濃く果面が滑らかで〃-クリ プトキサンチン高含有で良食味の早生力ンキ ッ「みはや」が育成されました。その果実の大きさは170 g程度、果形は扁球形で、着色 は10月上旬に始まり、11月上旬には完全着色し鮮やかな赤橙色を呈します（図1)。12 月上旬には糖度12程度、クェン酸濃度1% 以下となり年内に成熟し、高糖度で酸味は少 ないことから食味が優れ、「アンコール」に 似た芳香があり、新たな年内産カンキッとし て、消費の拡大と生産者の収益向上が期待さ れている品種です。