重症心身障害児の大腿骨骨折の特徴とその対策

摘要

重症心身障害児の骨折の多くは，原因不明といわれている.今回，骨折型に注目して外力の方向から不明の受傷機序を想定できないか，また，その予防策の可能性を検討した.16歳以下 大腿骨17骨折について，単純X線写真から骨折型を判定した.①転子部両側骨折4例，いずれも 小転子周囲の仮骨反応，股関節脱臼および内転拘縮あり，②骨幹部内反変形治癒骨折5例，いずれ も股関節脱臼および拘縮，膝拘縮あり，顆上部屈曲変形治癒2例，いずれも膝屈曲位で伸展拘縮 あり.①は股開排強制による骨折(開排型).は抱きかかえによる骨折(内転型)，は大腿長軸方 向の力(軸負荷)による骨折(軸負荷型)の3型に分類可能と考えた.危険因子である股関節脱臼-拘 縮，膝拘縮の程度に注目しつつ，仰臥位でのおむつ交換はしない，抱きかかえ時両大腿の間に肢位 保持枕を挟む，腹臥位排痰姿勢は膝蓋部にクッションを置くことなどが具体的予防策となると考え る.