重症心身障害児に合併した骨折の特徴

摘要

要旨重症心身障害児に合併した骨折の特徴について調査した.2010年10月?2015年3月の 4年6か月間に当院を受診した重症心身障害児のうち，骨折と診断された17名25肢を対象とした. 年齢，性別，基礎疾患，BMI，移動能力，コミュニケーション能力，主訴，受傷機転，当科受診ま でにかかった日数，骨折の既往の有無，ビタミンD製剤内服などの骨粗鬆症治療の有無，骨折部位， 治療方法，骨癒合までの期間，合併症について調査した.平均受傷時年齢は9.7歳で，男児5名， 女児12名であった.基礎疾患は，脳性麻痺児12名，低酸素脳症4名，脳出血後遺症1名であった. BMIは平均12.0，移動能力は16名が歩行困難であった.受傷から受診までの日数は平均4.6日で あった.骨折部位は膝関節周辺であることが多く，受傷機転は不明なものが多かった.2名は言語 によるコミュニケーションが可能であった.4名は調査期間内に2回以上の骨折を受傷しており， 同一児に複数回の骨折が起こる傾向があった.全例保存療法を行い，平均4.2週で骨癒合した.2 名に長期臥床に伴う肺炎を合併した.過去の報告と同様に，重症心身障害児の骨折は膝関節周囲に 多く ，症状を訴えにくいため受診までに時間がかかるという特徴があった.