整形外科医による発育性股関~R形成不全(DDH)のX線読影の正答率についての考察

摘要

【目的】近年，発育性股関節形成不全(以下，DDH)の遅診断例の増加が問題になり，乳児 股関節健診にて要精査率を上げる取り組みが行われている.今後二次検診で整形外科医がDDHを 確実に診断する必要があることから，本研究では二次検診を担当する整形外科医がDDHのX線を 正確に読影できるかどうかを調査した.【方法】6施設65名の整形外科医に，生後2?5か月児6例 の股関節X線によりDDHの有無の診断を依頼した.調査項目は，整形外科診療年数，専門医の有 無，DDH要精査症例の年間診察数とした.【結果】6例中6例正答した医師は4.6%， 4?5例66.1%, 3例以下29.1%だつた.DDH診療経験のない医師は全体で30%，整形外科0?5年目で77%であつ た.症例の正答率は，最低20%，最高99%と差があった.【考察】乳児股関節のX線を読影する機 会は少ない上，乳児例は骨端核未出現であるため個人差が生じやすく読影が難しい.整形外科研修 の中でDDH診療の講習会受講を必修化するなどの対策が必要であると考える.