脳性麻痺の上肢に対する整形外科的選択的痙性コントロール手術

摘要

要旨1999年から2014年までに，当院および関連施設で18歳以下の脳性麻痺の患者9例の上 肢に対して，整形外科的選択的痙性コントロール手術(Orthopaedic Selective Spasticity-Control Surgery)を行つた.対象は手術時年齢8歳から18歲(平均14歲5か月），麻痺型は痙性片麻痺8例， 痙性四肢麻痺1例，術後経過観察期間は1年3か月から11年10か月（平均5年5か月）であつた. 評価は脳性麻痺手術の機能評価表version 3を用いた.結果については，可動域.筋力に関しては どの症例でも術後1年で改善し，その後も比較的維持されていた.運動機能，ADLに関しては多 くの症例では術後1， 2年で改善され，3年以降は低下して平衡に落ち着く傾向がみられたが，術前 に手指の随意性のない例ではこれらは改善されなかった.総合点で見る限り，どの症例も術前より も改善された状態で長期的にも維持されるが，健側の手で大抵のことはできるために手術側の手を 使っていない例も多く，今後の課題である.