若年女性における二重X線吸収法を用いて評価した骨密度と幼児期から青年期までの運動習慣

摘要

骨強度の確保は，骨折リスクを軽減し，健やかな生活 の基礎である.骨強度は，発育発達期に他の身体の発育とともに急激に増加し，女性では18歳前後で最大値(Peak Bone Mass; PBM)を迎え，その後，40歳代以降に低下 し始める.このように，骨強度の変化は，発育発達と加 齢に大きな影響を受ける.さらに，日常生活での習慣的 な身体活動も，遺伝，ホルモン，加齢などの内的要因や， 食習慣などの外的要因と並hで，骨強度との強い関連性 が認められている.これまでの介入研究は，体重支持 運動やレジスタンス運動が骨密度や骨塩量の加齢に伴う 低下の抑制に効果的であることを示している.しかし ながら，高齢期における骨強度の低下は，他の年代に比 して著しく，定期的な運動を実施しても完全に防ぐこと は難しいと考えられている.従って，骨の成長期に出来 る限りにPBMを高めることは，高齢期の骨粗鬆症や骨 折のリスクを軽減するうえで重要である.特に，女性 においては，骨強度の低下が男性よりも著しいため，学 童期の運動習慣の担う役割が男性以上に大きい.