6.1分間の温熱処置がパフォ一マンスに与える効果についての基礎的検討

摘要

【目的】運動中のパフォーマンス低減を予防する方法について多くの報告があるカ气短時間の処置がパフォーマンス低減を防ぐかは明らかにされていない.多くの競技では休憩時間は短かく，短時間での回復方法が求められている. そこで，本研究の目的は，パフォーマンスの低減を予防し， 短時間で処置できる方法を検討するために，安静，タツピング，ホットパック，アイシング，軽運動の効果を比較することであった.【方法】対象は健常男性ほ名および女性15名，平均年齢21.2歳(+-)2歳であった.効果を評価するための方法は，片脚立ち幅とびを用いた.事前評価のための測定後,同側の片脚スクヮットをオールァゥトまで負荷し，その直後に比較する各処置を1分実施し，その後，事後評価の為，同側の片脚立ち幅とびを検討した.被験者を各処置別に分け， 安静(Rest群），夕ッピング（Tap群），ホットパック（Hot群）， アイシング-ホットパック（Ice/ Hot群）,軽運動(Ex群） とした.Rest群は1分間の座位安静，Tap群は対象部位に痛みを感じない強さで自ら拳で100/60 (回/秒）タツビングし，Hot群は70(deg)Cの湯に浸したタオルを密封し，布を介して対象部位にあてた.Ice/Hot群は同サイズのアイシングを30秒の後，Hot群と同じ方法を30秒行った.Ex群は,椅子座位で膝屈伸を100/60 (回/秒)行った. 【結果及び考察】Rest群r-0.038,.Tap群r=0.049, Ice/Hot 群r=0.006, Hot群r=0.704, Ex群r=0.703, (p<0.05)となり， Hot群，Ex群において顕著にパフォーマンス低減を防ぐことができた.軽運動については既にパフォ一マンス低減を防ぐ有効性が明らかにされており，本研究でも同様の結果を得ることができた.中野らは，皮膚に40(deg)Cの熱刺激を加えることで交感神経活動が促進されると述べており，また，筋への温熱刺激は筋緊張を抑制し最大筋力，筋持久力が低下したとの報告があるが，本研究での1分間の伝導温熱では深部温上昇に至らず筋緊張の抑制は起こらなかったと考えられる.【結語】1分間の温熱処置は.軽運動と同様パフオーマンス低下を防ぐ可能性が示唆された.今後の課題として，複数回のセットを行うことや,効果の持続時間や，被験者設定の検討が必要と考えられる.