双子葉植物で最も進化したキク科植物のモデルリソース

摘要

地球上の全高等植物は25万種あると言われる．その内の1/10という桁外れの種数を占有しているのが，双子葉植物で最も進化したと言われるキク科である．その中でNBRP広義キク属とは，Anthemideae連の108属1,741種）とその周辺の近縁種で，キク特異的シンテニー（遺伝的相同性）でくくられた大集合体を指している．それらは，核rDNA主領域で，塩基配列に高い相同性を持っており，種間の区別がつけにくい．同属全体の研究者人口と利用ポテンシャルは大きいが，これまで研究間のリソース共通性，共有性は少なかった．その中にあって，高等植物中最少染色体数2n＝4を持つHaplopappus gracilis（図1）は，本施設が栽培しやすく扱いやすい系統KH-1を作出してモデル植物とし，国内外の染色体研究ならびに教材として頻繁に使われ，注目されてきた．また，2n＝4植物から人為的に2n＝2に誘導された系統もある．他方，キク科で最小ゲノムサイズを持つLeontodon taraxacoides spp. Taraxacoides （1C 0.29/0.30 pg;Baalら；未発表）が今のところモデル植物向きとして注目されている．