藻場や浅海生物への影響とその調査方法

摘要

異なる環境が連続的に推移して接している埸所 は，一般に，生物の多様性が高いことで知られ， 移行帯あるいは推移带とよばれる。沿岸域は，陸 と海の間の推移带であり，塩生湿地，干潟，藻場， マングローブ林，サンゴ礁といった生息場(habitat) で構成されている。このような生息埸を多様な物が利ているため，生物多様性の観点からだ けでなく，漁業対象稀にも関係することから食料 供給のうえでも屯要である。沿岸域は陸と海の物 質循環をつなぐ役割をはたしており，例えば，脱 窒や生物による有機物除去などが行われる潟は 汚水処理場と同様の機能を有している。このよう な人問社会に献する生息場の役割は，生態系 サービスとよばれている。米国のCostanza et al.l) は，森林や海洋のさまざまな生態系のサービスを tt幣に換算して評価する研究を行った。この結果 によると，单位面積あたりの生態系サービスの価値は森林に比較して沿岸城の牛態系で高く，とく に，藻場は熱帯林の10倍と推定されている。 また，地球ヒの藻場面積と単位面積あたりの価値 から求めた全球での価値は，藻場と熱帯林がほぼ あじであった。本稿では，上述の生息場のなかで とくに重要な藻場を中心に，洋上風力発電の影響評価手法について概説する。