熱処理合金化めっき法

摘要

近年環境規制が厳しくなり.それに伴いめっき産業も大きな挑戦を受けている.鉛,クロム,カドミウムなどめっき金属として有用であった金属が次々と規制の対象となり,国際産業競争力を業界につけるためには,環境技術のより一層の展開が望まれる.欧州における廃日動車令(ELVs指令)や,電子部品のはhだなどに関連するWEEK,RoHS指令などにおいて,環境に有害な元素の他用が制限を受けており,代替材料が模索されている.また,めっき金属そのものの有害性,環境負荷性は別としても,その製造に用いられるめっき浴中の化学種が,たとえばシアン系の毒物,劇物であったり,強酸性,強アルか)性だったりすると,薬品の保管や廃液処和が環境との関わり合いで大きな問題となる.これらの従来から用いられてきた,環境負荷性の大きな金属及びそのプロセスは,性質を若干犠牲にしても, 環境負荷のより少ないものに置き換えていく努力や,また環境に悪いものはプロセスが対象としている系から外へ出さないなどのより一層のエ夫が,持続発展可能な技術であるために必要となると考えられる.このようなめっき産業に対する社会の動きに対して私どもが提示する一つの解答が,熱処理合金化めっき法(HeatTreat-ment Alloying Plating Process: HTAP法あるいは積層単相膜加熱法Heating Stacked Single Layers Process: HSSL法)である.本稿ではその原理,意義,これまでに得られている結果と,今後の展望について解説する.