光を蓄える希土類含有ガラス材料の開発

摘要

1.はじめにユーロピウム:Euを微量に添加したアルミン酸塩系の希土類蛍光体には,Eu(II)イオンの光吸収を介して励起された電子(正孔)の一部を格子内に捕縛する蓄光機能を有するものがある.それら蓄光機能を有する物質は,『長残光』や『応力発光』,『光伝導特性』といった種々の興味深い性質を示すことが知られる.特にEu~(2+), Dy~(3+):SrAl_2O_4の緑色蛍光体は,他に類を見ないほど優れた長残光機能を有し,屋内インテリアや夜間の補光材料として幅広く用いられてきた.一方,それら蛍光体の多くは,大きさがマイクロサイズの結晶粉体であり,発光体として利用する場合は樹脂やインク塗料といった有機化合物の透明バインダが必要となる.もしこれら蓄光機能を有する物質が無機ガラスのような透明性?耐候性に優れたバルク体で得られるならば,これまでの残光蛍光体としての用途のみでなく,応カー光センシングや光伝導素子などさまざまな使途に利用できると考えられている.