などさまざまな社会サービスが欠落している。格差や貧困問題も深刻である。FDs の背景には、社会的排除問題（Social exclusion issues）が内在する。

摘要

イギリスでは、1990 年代末以降、FDs 問題に対する興味関心が高まり、政府主導のもとで先駆的な研究が進められた。これまでに、リーズやブラッドフォードなどの主要な地方都市を中心にFDs 問題の研究蓄積が進hでいる。なかでも、食料品小売店への近接性が重要となるため、地理学的視占一からの研究の有効性が指摘されている。イギリスの場合、FDS 問題の被害者は低所得者層や交通弱者、家事育児に追われる人びと（シングルマザー）、高齢者、身体障害者、外国人労働者など多岐にわたる。こうした人びとが集住するFDS エリアでは、野菜や果物の消費量が全国平均を大きく下回っている。また、所得の低い世帯ほど健康管理に無関心であり、生鮮食料品を避けて安価で手間のかからないレトルトフードに依存する傾向が強いことが明らかとなっている。あるシングルマザー（母19 歳無職、娘3歳）は、週50 ポンドの生活保護費の＾つち30 ポンドを自身のタバコ代に費やし、子どもには近所の雑貨店で購入した安いレトルト食品を与えて（ 8 ）いた。彼女たちは、生鮮食料品を購入できるだけの十分な収入がないだけでなく、食と健康に関する知識の欠落も著しい。