ゼブラフイッシュの発達過程における聴覚獲得の仕組み

摘要

発達段階でどのょうな過程を経て聴覚を獲得するかを，我々はゼブラフイッシュを対象に して行動学的?生理学的?形態学的に調ベた.ゼブラフイッシュは発生?発達が早く，発達 初期は体が透明で，生体内でニュ一ロンのイメ一ジングが可能であるし，最近電気生理学的 なアプロ一チも確立されてきた.また遺伝子操作が容易で変異体も豊富など分子基盤に至る 研究標本としても優れた特徴を持っている.なhといっても音に敏感で音刺激に対する行動 解析にも適していて，聴覚の研究対象として注目されている.我々はゼブラフイッシュの胚 や仔魚を用いて，音刺激から素早く逃げる逃避運動やそれを駆動する後脳のマウスナ一（M） 細胞，さらにM細胞に音信号を入力する内耳の発達を調ベ，いっどのょうに聴覚が獲得され るかを解析した.その結果，まず内耳からマウスナ一細胞までの神経回路が形成され信号を 伝えられるょうになったあとで，内耳の有毛細胞が音感受性を獲得して初めてM細胞は聴覚 刺激に応答することを見出した.このょうな過程は，ゼブラフイッシュだけでなく高感度の 聴覚をもっ脊椎動物に共通する発達原理を示唆するであろう.