アンペアの新しい定義によって電磁気の教科書はどう変わるか

摘要

2018年の第26回国際度量衡総会で決定された国際単位系（SI）の改定は，長年利用されてきたキログラム原器の引退を伴う，本格的なものである．7つのSI基本単位のうち，キログラムkg，アンペアA，ケルビンK，モルmolの定義が大きく変わる．そのために新たに4つの物理定数，すなわちブランク定数h，素電荷e，ボルツマン定数転，アボガドロ定数N_Aを表わす数値の固定，すなわち定義値化が行われた．この改定は，基本単位の大きさの決め方が変わっただけで，単位そのものや単位系の構造を変えるものではない．単位の大きさも，従来のものと不確かさの範囲で連続するように配慮されている．