移動ロボットからの複数音源の定位と分離のためのマイクアレイ評価

摘要

本解説記事では，よく用いられているDelayed Sum Beam Forming（DSBF：遅延和ビームフォーミング）法により，位相をずらして重ね合わせて焦点を形成する焦点形成型のビームフォーミングにおいて，マイクアレイの配置と素子数によってどのように変化するかを，音圧の感度分布をシミュレーションにより再現することで検証する．焦点形成型ビームフォーミングの基本技術は，もともとは電波を扱うアンテナの分野で開発された．電波も音波も波という観点からは同一であるが，アンテナ分野で扱う電波が比較的狭帯域の信号であるのに対し，音響分野で扱う音波は10オクターブもの範囲をもつ広帯域信号である．このため広帯域の信号を扱うための工夫が必要となる．一例として信号処理によって，周波数ごとのビーム形状を統一する手法が提案されている．