体幹訓練機器「Trunk Solution」が目指すもの

摘要

歩行において体幹はパッセンジャー，下肢はロコモータとよばれる．ロコモータである下肢は身体を前進させる重要な役割を担うため，歩行に関する研究は下肢に着目したものが多い．また障がいを呈する者を対象として開発される歩行を補助する機器も下肢の振出や荷重を軽減するなど，問題が生じた下肢の部位を直接助けるような機器は多く開発されている．一方で，筆者らが開発したTrunk Solution（TS）（図1）は体幹と骨盤に積極的にアプローチすることで，歩行時の下肢の働きを助けるという新しい考えに基づいた装着型機器であり，パッセンジャーに働きかけることでロコモータの機能を最大限引き出すことを目的とした機器である．本稿ではTS開発の経緯から効果の解説およびエビデンスと導入事例の紹介，最後にTSが目指すものについての解説を行っていく．