トーラス型移動機構から柔軟グリッパ機構に至るまでの実際

摘要

本稿においては，筆者らがこれまでに取り組hできたロボット機構の中でも，取り分け柔軟な要素を含むものを抜粋し，さらにその中でも移動体としてはトーラス型移動機構，グリッパとしては柔軟膜グリッパ機構について事例紹介する．これら2つの機構は機能の観点からは異なるが，構造の観点からは実は共通する構造を有するものである．浮き輪が軸方向に引き延ばされたトーラス構造を有する．これら機構は移動体が前進する際に，内側から外側に駆動力が発生する動作を起こすが，逆向きに駆動させ，外側から内側に連続的に先端を駆動させると，グリッパ機構として機能するという非常に興味深いものである．本稿では，まず，この2例について，それぞれ説明し，最後に位相機構学の観点から，これら共通項について論じることとする．