技術力確立のステップ

摘要

一口に「技術力」とはいうものの，その実体は目に見えないので，中味は極めて抽象的であるが，持続的に生き残りたい，できればより発展させたいと願う会社にとって，技術力は不可欠のものであることはかなり広く認識されていると考えられる．しかし，いざ技術力を蓄積したいと願っても，どのようにして技術力を蓄積したらよいのか，途方にくれるのも事実である．まして，その技術力を今まで以上に向上させるには，しかもどうすればより効率的に行うことができるのか，このような疑問に答えてくれる出版物に遭遇することができなかった．というのも，これまで技術力とは，会社が意識して積極的に蓄積してきたというよりも，自社商品をより多く販売したいため，顧客からのクレームあるいはその要望に答えようとして，自社の商品の品質向上に対して，長年の創意工夫およびそれを実行し続けている間に，いつの間にか「技術力」が蓄積されてきたからではなかろうかと考えられる．このように，技術力の養成およびその向上の過程においては受動的な経緯があったかもしれないが，理想的には，技術力は意識して，換言すれば「能動的に蓄積」すべきものであるし，その蓄積のやり方にも一定の手法があると考えられるので，本稿ではその具体的な手法等について，言及する．