原子力発電所の安全管理

摘要

原子力発電とは，ウランの核分裂で生じるエネルギーで蒸気を作り，タービンを回して発電するシステムである。 エネルギー源がウランであるか化石燃料であるかを別にすれば火力発電と変わらない。特に，東京電力などが利用している沸騰水型原発（BWR）では，炉心を冷却する1次冷却水が沸騰して直接タービンを回すため，発電システムとしては火力発電と同等である。 しかしBWRでは，タービンを回す1次冷却水が放射能で汚れているため，プラントの維持管理が面倒になる。 そこで，関西電力（以下，関電と表記）などが利用している加圧水型原発（PWR）では，1次冷却水は沸騰させず，蒸気発生器で2次系にエネルギーを伝達し，2次冷却水が沸騰してタービンを回す。 そうすることで，システムがBWRに比べて複雑になるが，2次系は基本的には放射能汚染から免れる。 そのため，原子力関係者には，PWRの2次系を軽視する思い込みが深くしみこhできた。 美浜原子力発電所3号機で起こった問題の事故も2次系で起きたし，下請労働者たちは危険性を知らされないまま現場で作業に当たり，いきなり事故に巻き込まれた。 その結果11名の労働者が火傷を負い，すでに5名が亡くなっている。