環境とエネルギー分野の体系化～上流対策と下流対策のベストミックス

摘要

一方，産業界では多くの企業に環境保全，環境管理，エネルギー管理などの組織があるが，同じ業種でも対象範囲や内容に大きな隔たりがある。このような状況から，環境とエネルギーの分野は「体系化」が必要ではないかと思うようなった。体系化は環境とエネルギー分野の全体構成を示す「総論」に相当する。普遍的な総論があれば，関係者は担当する各論が総論のどの部分に該当するのか，また他の各論とどのような関連性があるのか理解しやすくなるであろう。そこで本稿では，まず初めに環境対策の種類について述べ，問題ごとに次元の異なる対策のベストミックスが存在することを示す。次に環境問題の全容を体系的に示す。続いて環境対策群を，環境負荷を抑制する上流分野と，環境負荷を無害化する下流分野に分けて述べる。ここまでが環境問題と環境対策の体系化である。本稿の最終節では，化学産業がこの分類体系に沿ってどのように環境保全に寄与しているか具体的に示す。なお本稿の一部に，2011年発刊の「改訂七版 化学工学便覧：丸善出版」に掲載された環境化学工学（筆者が執筆）を引用している。