欧州におけるマーケットサーべイランスの動向

摘要

以上のように，改正一般製品安全法に基づき，各国間の危険な製品に関する情報の流通はようやく動き出しつつある。しかしながら，マーケットサーベイランスそのものの整合化，調和化については，見送られているままである。 前述したとおり，各国での法制度はバラバラで，また，欧州委員会による中央主権的な介入を拒む意見が強く，将来的にも制度の統一まで進むかどうかは不透明な状況である。 欧州では，ニューアプローチ指令そのものの見直しの議論も行われており，自己適合宣言（SDOC）の拡大とともに，マーケットサーベイランスの効率的な実施が主要議題となってきている。 また，WTO/TBT，UN/ECE/WP6，APEC/SCSC（APEC基準·適合性小委員会）等でGRP（Good Regulatory Practice）が議論されてきているが，GRPは事前規制の簡素化·SDOCの拡大とともに，事後規制の強化が提言されており，マーケットサーベイランスの強化·国際的調和，危険な製品に関する情報の国際的流通がそのコンセプトに含まれている。 欧州においても，マーケットサーベイランスシステムの調和化が今後重要な課題となってくるものと考えられる。 一方，RAPEXシステムに代表される欧州の危険製品情報流通システムは，多国間システムとしては，世界で初めての読みであり，改正一般製品安全法のもと著しい改善が見られている。 このシステムは，今後ますますグローバル化していく国際経済において，一つのモデルとなりうるものと考えられる。