変形性膝関節症に対する鍼治療のランダム化比較試験論文の概要京都国際シンポジウムの予備資料として

摘要

来る11月20·21日に、"エビデンスに基づく鍼灸治療の現状"と題して京都で鍼灸の国際シンポジウムが開催される。 第1日目には変形性膝関節症に焦点を当ててランダム化比較試験（RCT）論文の著者らが一堂に会し、鍼治療のエビデンスについて討論が行われる予定である。 高齢化にともない変形性関節症をもつ患者の数が増加しており、中でも変形性膝関節症は代表的な変形性関節症である。 手術に踏み切るほどではない病期の変形性膝関節症に対して様々な保存療法が試されるが、決定的な治療手段があるとは言えない。 疫病緩和の目的で、しばしば第一選択として非ステロイド性抗炎症薬（NSAID）が用いられるが、上部消化管潰瘍や肝?腎機能障害などの副作用が問題となる。 ヒアルロン酸ナトリウムやステロイド薬の関節内注入も必ずしも有用ではなく、乱用は避けなければならない。 したがって、変形性膝関節症の保存療法としてはひとつの治療に頼るのではなく、薬物療法、関節内注入療法、生活指導、運動療法、物理療法など様々な手段を、患者の状況に合わせて選択するという集学的治療が重要であるという意見がある。