硫黄の特性を利用したチアカリックスアレーンの分子設計と機能

摘要

新規なホスト分子の開拓は，高性能触媒，超高 感度センサー，超精密分離材料などの先端機能材 料の創製のために欠かせない分野である．複数の フェノールをメチレン基で架橋した環状分子，カ リックスアレーン（e．g．1）は合成および化学修飾 の容易さに加え，その構造的特徴から，クラウンエーテルやシグロデキストリンに次ぐ第3のホスト分子として注目され，その機能開発研究が精力的に行われている．長年のカリックスアレーン研究において，分子の高機能化は専らフェノール部分の化学修飾によってなされてきた（Fig．1a）．