献血者数の推移と将来推計一血液事業の進歩と合理化の観点から

摘要

近年，若者の献血者数が減少していることから，高齢化が進む今後の血液の安定供給を危ぶむ声が聞かれる．今回，今後とも血液の安定供給を確保する対策を講じるために，統計資料に基づいて過去の献血者数の推移を解析した．その結果，献血者数の減少は，血液事業の進歩とともに採血効率を向上させ，合理的に献血者を募集し血液を確保してきたことが大きく影響していることが分かった．しかしその一方で，献血者から得られた血液を有効的に活用するために，厳密な血液型別の在庫管理が求められている．また，将来推計の結果，高齢化が進むことにより輸血用血液製剤の供給量は増加傾向を示すが，原料血祭確保計画量如何によっては高齢化による増加分をはるかに上回る献血者の確保が必要となる．献血者を確実に確保するためには，中，長期的な原料血栄確保計画が不可欠である．