移動式ICTユニットとレガシーな無線通信手段の連携

摘要

NTT未来ねっと研究所では，災害時に被災地へ搬入して迅速に通信ネットワークを応急復旧させることを目的として、通信機能と情報処理機能を搭載した「移動式ICTユニット」の研究開発を進めている．移動式ICT ユニットは被災地内での通話を提供する内線機能を有し，周辺に構築されたWi-Fiネットワークに接続することによりスマートフォンを臨時の内線電話として利用することが可能である．しかしWi-Fiの電波の到達範囲は狭いため，被災地における行動範囲に制約が生じることが問題であった．そこで我々は，アマチュア無線やデジタル簡易無線等の到達距離の長いレガシーな無線通信手段と移動式ICTユニットを連携させることにより内線通話エリアを拡大し，被災地における内線通話の利便性の向上をはかった．本稿では，移動式ICTユニットの概要と，レガシーな無線通信手段との連携について述べる．また，国内各地で実施した実証実験におけるデモンストレーションの概要について報告する．デモンストレーションにおいて，被災地における内線電話サービスを迅速かつ広域に提供可能であることを実証した．